文章を翻訳するときに便利なツール

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日本語しか使わないのは情報弱者

Wikipediaによると、世界中のウェブサイトのうち日本語のコンテンツは6位で3.1%。人口比率を考えるとがんばってるとは言えるが、英語が58.6%であることを考えると、約19倍のコンテンツがあるようです。そして英語圏の方がソリューションが圧倒的に多くて、当然多機能なもの、低価格なもの、使いやすいものたくさんありますよね。

そして、この20年で言語のハードルは大きく下がりました。翻訳系のサービスやソリューションが増えたからです。翻訳だって低価格(というか無料)で高機能だし、多岐にわたるサービスもあります。この状況で日本語しか読まないなんて情報弱者だと言えませんか?

まず、Chromeのブラウザで右ボタンを押せば簡単にウェブサイト全部を日本語に翻訳してくれますよね。またGoogle翻訳を使えば日本語から多言語への翻訳も簡単にできてしまいます。そして高機能で無料。このGoogle翻訳のクオリティは恐ろしいことに、それまで有償だったプロ向けのどの翻訳ツールでもGoogle翻訳のクオリティには勝てないと言われているのです。なお、Google翻訳のスマホアプリは写真も対応している。画像を送れば、その画像の文字を読んで日本語にしてくれてしまうのをご存知でしょうか?中国人の友達がFacebookで中国語圏向けにメッセージを画像で送っていたが、その内容はスクリーンショットをとり、Google翻訳を通すことで内容を読むことができました(中国のコロナが深刻で物資に困ってる中国国内の人がいれば寄付するよ、という内容だった)。

Google翻訳 VS Deepl

しかし最近Google翻訳をしのぐクオリティと言われるものが現れたのです。Deeplです。こちらはパソコンやスマホ向けアプリもブラウザ版もあり、基本的に無料です。なお、有料版にすると、個人の辞書機能が使える機能がつきます。こちらはAIをつかった機械学習が備わっており、多くの人はGoogle翻訳より翻訳のクオリティは高いと言っています。あと、私が個人的に思う、Deeplの便利なところは、日本語から英語に翻訳したときに、どういう言葉を使うか、どういう順番で翻訳するかをあとで選択できるところです。だから受動態にしたいとか、ここでは違う単語を使いたいというようなことにも答えてくれるのは助かります。Google翻訳そういうことはできませ運が、いったんGoogleが提出してきた翻訳をあとで自分で直して、Googleに正しい翻訳として提案することはできます。

もう一つDeeplの有償版では、PDFなどのファイルをDeeplに送ると、丸ごと全部翻訳してくれる。私が海外の大学の授業で参考資料として送られてきた数学の論文もこれをつかうことでさっと目を通すことが可能になりました。まじ助かります。

ではGoogle 翻訳Deeplどっちが優秀か、というと私は甲乙つけ難いと感じてるんです。自然な言い回しはDeeplに軍配があがることも多いが、Deeplは人工知能の学習の問題なのか、1つの文章を2回翻訳してしまったり、明らかな誤訳がおきます。とくに改行による影響は大きく、改行によって意味がガラッと変わってしまい、意味がわからなくなることも多いですね。Googleは、表現がぎこちないことがあるものの、Deeplのようなバグのような問題は少ないように思います。流暢な翻訳はDeepl確実な翻訳はGoogle翻訳だと私は思っています。

(2023/1/3 追記)ああと、これは私は未確認ですが、起きうる問題としてDeeplで翻訳すると乙の部分に具体的な企業名が出てしまうことがあったそうです。有料版は無料版に比べ検索ログは早く消えるという情報もありますが、大量に同じ社名で翻訳かけてたら、AIが学習してそういう翻訳もしてしまう可能性もあるので、個人情報や機密情報は気をつけた方がいいかもしれません。(松浦 啓さんからのTwitterに関する情報です。ありがとうございます)。

ミススペル予防ならはGrammy

文章を翻訳するときに文法のミスやスペルミスも自動的な指摘が増えました。WordやGoogle Docsでもある程度は指摘してくれますよね。でも細かいところまでは行き届かないのです。英語翻訳のクオリティを上げるなら”Grammyというサービスがお勧めです。このサービスをつかうとブラウザやSNSで書いた投稿に対して、赤い下線を引いて、正しい言い回しを教えてくれます。たまーにおかしなこともありますけどね。

Google全文一致で言い回しチェック

そして、”文法的に、単語的には間違ってないが、ネイティブは使わない表現”を知る方法もある。地味なテクニックだがGoogleの金谷さんが話してたことで、Google検索で書いた文章を” ”で囲み、完全一致にして検索するという方法があります。こうすると、世界中の英語の文章で同じ表現がされている文章をリストアップしてくれます。このとき、検索結果を英語環境にするため、https://www.google.com/?hl=enで検索するほうがいいですね。そして、検索してみて、ヒット数、つまり検索結果の数が少ないならその表現はあまりされていない、ということになるわけです。そして画像検索を合わせてすると、その言葉はどのようなことを指しているのかがわかったりします。

たとえばリスティング広告という言葉を日本語で検索するとGoogleの検索結果の上下に表示される広告を指しています。

しかし”listing ads”で検索すると、About 521,000 results しかありません。明らかに少ないことがわかります。

そして画像検索をすると、一見日本語と同じ広告を指しているように見えるのですがが、よく見ると”listing ads”は商品が並んでいる日本で言う”ショッピング広告”を指していることがわかります。そして似た言葉”paid search” はAbout 4,830,000 resultsあり、この言葉のほうがよく使われてることがわかります。


なお、英語以外の多言語については原則英語からの翻訳をお薦めです。どの翻訳エンジンも、ユーザーが多い言語に対して最も力を入れているものです。だから、英語から中国語への翻訳はかなり精度が高いのですが、日本語から中国語への翻訳はまだまだ十分なクオリティにはなっていないと思います。私は日本語から中国語にGoogle翻訳すると必ず笑いが起きます(笑)。だから日本語→英語→多言語と翻訳すると自然な中国語になるようです。

意外につかえるBing翻訳

あと最後に、Bing翻訳というアプリもある。こちらもMicrosoftが出している翻訳サービスで無料で多言語に翻訳でき、品質はGoogleに引けをとらない結果を出してくれます。特におすすめなのはBing翻訳アプリで、スマートフォンにインストールすると、マイクで拾った言語をそのまま日本語など多言語に翻訳してくれます。海外のセミナーや会話をするときには便利そう。一方でGoogle翻訳もマイクでの入力に対応していますが、Bing翻訳ほどのリアルタイムの反応はありません。それより、スマホアプリで翻訳結果を横にすると文字を大きく見せてくれるので筆談の代わりには便利な機能だな、と思っています。

ほんやくこんにゃくは語学を不要とするのか?

そうなのです。これらのサービスを使えば、誰でも多言語の文章も読むことができ、英語で発信もできるようになります。だから英語力0でも逃げる必要はないでしょ。それでは英語や他の言語は覚えなくていいのだろうか?

結論はNoだ。翻訳されたとしても、本当のニュアンスは原文を読まないと伝わらないことも多いのです。翻訳だって進化したけど完璧ではない。以前知人が“うどんを打つ”をGoogleで翻訳すると“Hit Udon“と出てきたと投稿があって、笑ってしまったことがあった。“Make Udon”にはならないのですよ。私の経験でも、純広告の翻訳結果を調べると”Pure ads”と書いているサイトがあるが、これも間違いですよね。

純広告がピュアな訳がない(笑)。やっと腑に落ちた翻訳は何十人にも聞いた上ある方が提案してくれた言葉、”Non programatic ads”で、これはプログラムを使う運用型広告などが始まり、そうではない古い広告を純広告と読んだわけです。これってスマホがでてきて「ガラケー」と呼ばれたことに似ています(スマホがないころはケータイとは呼んでもガラケーとは言わなかった)。他の言語に翻訳を自分で考えてはじめて本当の概念に気づくことがあるのです。そして、そんな異文化を感じられる機会を逃すのはもったいないと思いませんか?そう、他の言語で伝わるようにするということの根源には、自分の言葉を他人に伝えるために概念をちゃんと言語化すると言う過程が必ず存在するのです。それは自分の理解を深めることとつながっています。

将来、翻訳が自動化されるという話はあり、たしかにここ20年で相当翻訳は進化して安くなったのですが、それが言語の壁を超えられる能力の必要がなくなるということではないですよ。本当に知りたいことはその言語の言葉でさぐらなければ見つからないのです。

最初にその言語にまみれることから始めませんか?最初の一歩として今のパソコンのOSを日本語から英語、中国語に変えてみてはどうだろうか?SiriやGoogleアシスタントに話しかけるのも答えてもらうのも全部その言語に変わるから勉強になりますよ♪

なお余談だが、Google 翻訳は”翻訳の改善”(https://translate.google.com/intl/ja/about/contribute/)というサイトがあり、世界中の翻訳者に、Googleも未だ翻訳で苦労している言葉をいろんな人のボランティアでクオリティをあげる活動をしています。もし興味があったら覗いて、Googleの無料で使える翻訳機能の向上に協力して欲しいです。いろんなアニメのキャラとか翻訳するお題があって私は楽しいと思ってます。

Toshiaki Ejiri: Born in Fukushima, working as web analytics consultant since 2000.