初心者向けGA本なのにビジネス視点
ウェブ解析士でも事業の成果につなげることを大事にしているが、意外に年配の人でもビジネスに向き合えない人も多い。
この本は、ウェブ解析を事業の成果に繋げる大事なこと、目標の成果を確認し逆算している。Gitなど技術者志向の筆者と思いきや、本質論が意外に実務に沿っている。
売上目標・環境分析を重視
まず
売上=CVR×客数
から入る本をあまり見たことがない。
そして3C、4Pとビジネスフレームワークから解説している。そしてユーザに聞く。開発者に聞くなど社内ヒアリングを実戦している。
実はウェブ解析士のテキストに近いアプローチである(ウェブ解析士では4Cを推奨してるけどね)。「できる」シリーズ含め初心者向けのGAの本にこのような解説はない。だから使い方覚えて、
で、どうするの?
で止まって忘れて、久しぶりに見てインターフェースが変わってw、使えずに終わる人が大量にいる。だからこの本を見てまずは触ること、少なくとも毎週触ることをオススメしたい。一つ一つの機能強化は微細だが1年立つとほぼ違うインターフェースになってしまうためだ。
Googleアナリティクスだけではない最新の手法に沿っている
最新の手法に沿ってることもお薦めする理由だ。Googleアナリティクスを設置して、設定をして、解析結果から広告やサイトの改善をして、それぞれの流れを一通り学ぶことができる。さらにデータスタジオ、タグマネなどのアクセス解析以外のソリューションも学ぶことができる。
Googleアナリティクスの本ではその他のソリューションをあわせて使って学べる本は少ない、この本はタグマネ前提で書かれている。いまGoogleアナリティクスの機能との親和性を考えるとタグマネ前提が便利だし、容易だ。この方針が、仕事のためにひとりでがんばらなければいけない、初心者のビジネスパーソンにはとても入りやすいだろう。Google データスタジオやGoogleのタグマネは、それぞれウェブ協会士協会監修の本もあるのでよろしければどうぞ
学びやすいストーリー形式の本
そもそもいままで、Googleアナリティクスの本は2つの流れがあった
- ストーリー形式:機能を使う順番に重要な機能を説明
- 逆引き形式:目的にあわせ機能を逆引きで網羅的に説明
最近は逆引きが多いしている。ある程度使ってる方にはこのような本のほうが辞書的で使いやすい。
この本はどちらとも異なるが、どちらかというと前者、ストーリーにそってアウトラインを知ることに重点をおいている。
pixel2013 / Pixabay
初心者にはストーリーで学ぶほうがわかりやすい。私も散々この技術を教えるためストーリーにすることを考えていた。しかしストーリーにすることは、カンタンではない。もう、ウェブ解析を知りすぎたプロのおっさんなので、初心者の視点になることはできなかった。そしてストーリーを組み立てるのに必要な、キャラクターの視点や特徴づけをする想像力に欠けてる。キャラクターとか周辺の世界観とかとても大事に思いを巡らし、大事にすることが必要なのかーと思った。
とはいえ相当大変だったと思う。マーケティングとクリエイティブの考え方はしばしば衝突することもある。筆者はクリエイティブ、エンジニアの出自だが、(若いのに)その中でマーケティングの本をトライしたことにまず「がんばったね!」といってあげたい。
まとめると
いまからGoogleアナリティクスを導入する方にオススメ
- 事業の成果を上げることが前提、ウェブ解析士とポリシーが同じ
- タグマネ、データスタジオなど最新の手法で初心者に優しい
- 設置から活用までのアウトラインがつかめる
だから
設置したけど欲しい情報が取れない人
より
何をどうしたらわからない人向き
の本である。
もうすでにGoogleアナリティクスを使ってる方にはカンタンすぎるかもしれない。しかしウェブ解析を知ってほしい、あなたの周りの方にプレゼントするにはいい本だと思う。
- 新人や未経験者の部下や同僚
- 仕事を理解してほしい上司や経営陣
とくに2.に対してウェブ解析士のテキストではハラスメントに近いのでw、マンガだったら入りやすいと思う。1.の人には「このぐらい読んでおいたほうがいいよ」とウェブ解析士テキストとセットでプレゼントすると効果的だろうw
なお筆者は、Git(ギットと読む、ジットと読んで赤っ恥かいた)の本も出版している。こちらはsubversionで進化が止まったド素人だったで、勉強になった。出版とかドキュメンテーションにも使えそうですよね。合わせてオススメしたい。