「昨日わたしがベルリンからあなたのウェブサイトへ訪問した履歴を見せてください」
この質問に答えられない場合、最大あなたの会社に26億円の罰金を払う可能性がある。あなたの会社にその体力があるだろうか?あなたの会社がもしヨーロッパに滞在する人がウェブサイトを訪問することができるなら、そのリスクに晒されている。Googleアナリティクスをつかっていて、第三者にウェブサイトのログデータを提供してるなら、問題はさらに深刻だ。
事実British AirwayはGDPR義務違反で240億円を支払った。日本でもプリンスホテルや藤田観光など、罰金を支払う事例がでている。
そこでそのリスクを回避する無料でも使えるオープンソースアクセス解析ツールMatomoを紹介したい。
無料・低価格で使えるアクセス解析ツール
Matomoはオープンソースのアクセス解析ツールだ。イギリスで発明され、それから改良が繰り返されてきた。
以前はPiwikという名前だったが2019年ファウンダーが
「私達のポリシーにふさわしい単語をやっともつけた『まとも』だ!」
と宣言してMatomoとなった。
まともなツールなので、とってもまともに作られている。
サーバーにインストールすれば誰でもすぐ無料で使うことができる。
ウェブサーバーのログを集計するサーバーログ方式と、トラッキングコードとよばれるJavaScriptをつかってCookieで測定するウェブビーコン型の2つの方法でデータがとれる。
サーバにプログラムを入れるのが苦手な人はクラウド版がある。Googleアナリティクスのようにタグをいれるだけでアクセス解析ができる。費用はサイトへのアクセス数によるが日本円で2000円台。Googleアナリティクスの競合Adobe Analyticsが最低でも20万円は月額かかることを考えると大変オトクだ。
ヨーロッパ発でGDPR完全対応
そしてヨーロッパ発のツールなので、GDPRに完全対応している。もちろんツール以外に管理者の決定などが必要だが、ウェブサイトをヨーロッパに公開しているなら、ウェブサイト訪問者に以下が求められる。
- 第三者利用(ほかのウェブサイトや企業=第三者にログを利用させること)の目的と範囲の明示すること
- ログデータの保管場所、体制、管理者を明示すること
- ユーザーの求めに応じてログデーターの開示や削除ができること
それに対し、Googleアナリティクスは
- 利用規約でGoogleアナリティクスのログデータはGoogleが幅広い範囲で利用する(から無料なのだ)
- ログデータはアメリカのクラウド環境に保管、管理者は不明だが、保存は定めないと永遠(設定で変更可能)
- ログデータの削除は可能、開示はできない
そして、アメリカのクラウドサーバーはGDPRではアウトとの司法判断が出たため完全にアウトなのだが、Matomoは
- 自社でしかログデータをつかわない
- ログの保管は自社もしくは自社が契約しているクラウド(はっきりしている)
- ユーザーの求めでログデーターを明示したり削除したり、そもそもマスキングができる
というすぐれものなのだ。
官公庁・学校・大手金融企業で人気だが
Googleとはいえ、無条件に個人情報を流していい企業はほとんどないので、Matomoはすべての企業にとって必要だが、特にGoogleに情報を漏洩してはいけない組織はすべてMatomoにすべきだろう。
具体的には官公庁や学校や金融系企業だ。情報漏えいは論外として、ログデータの開示ができない、第三者提供を管理していないため数十億の罰金を払うというようなケースは避けたい企業はたくさんあるはずだ。
実は問題はこのようなおカタい企業ばかりではない。ウェブ業界の人たちも触れておくべきだ。
これからログデータはユーザーのものになる。GoogleやFacebookが検索結果や投稿内容にあわせて広告を出すなんて、どんどんできなくなる。一部のCookieだって使えない時代が2年後に来ることもわかってる。
Googleアナリティクスは今後App+Web、つまりアプリとウェブの連携が前提になっていく、どんどん高度なマーケティングを実現するために高度化していく。
どこまであなたのお客さまに必要だろうか?本当に必要な情報を見るためなら、Googleに情報を出さないMatomoを今から親しんで、顧客に提供すれば大きなアドバンテージになるだろう。
まとめ
Matomoは日本Matomoユーザー会が定期的に勉強会や情報提供をしている。
そして今年マイナビからMatomoの書籍から発売される予定だ。
今回は割愛したがMatomoは相当高機能で
・タグマネージャー
・ヒートマップやユーザーレコーディング
・ABテストツール
などGoogleアナリティクスが保つ機能と同等それ以上のものもたくさんある。
まずはクラウド版でMatomoを触ってみよう!