雇用調整助成金のススメ

店舗の経営者は諦めないで、雇用調整助成金を活用しよう。

Go Toキャンペーンで政府も観光業の後押しをしている一方、感染者拡大で、店舗、飲食店、宿泊業、ライブイベントなど多くの業界で売上が低下している。

そこで雇用調整助成金を紹介したい。

雇用調整助成金は、厚生労働省管轄の助成金。新型コロナウイルス感染症で特別措置を実施している。

申請もカンタンで加算金で社員教育にも使える。この機会に売上にあった勤務に変え、休業手当を払いつつ、社員教育でウィズコロナに対応できる社員に育てよう。

全額助成がおりる。部分休業でも利用できる

助成金で賃金の何割補助されるかご存知だろうか?

この助成金を利用すると、従業員を休業させると現在1人1日15000円を限度に労働者に払う休業手当の10/10(全額)助成する制度だ。

しかし4月からずっとコロナの影響があり、社員を休ませ続けるのも限界がある。

多くの企業では、業務縮小しながらも社員の勤務を依頼している状況ではないだろうか?

減った業務量にも関わらず全日勤務としていれば、固定費はかかる。その固定費が負担担っている企業は少なくないはずだ。

そのような企業でも雇用調整助成金は活用できる。

この雇用調整助成金は一部休業でもよく、毎週午前中だけ勤務し、午後から休業でも対応となる。

あるいは月曜日と火曜日だけ、というような休業の可能だ。

具体的には8時間勤務の場合、半日ごとに設定することができる。
9時-18時勤務だった場合、9時-14時と14時-18時と区切ることができる。

午前中は休業、午後勤務でも回る業務量であれば、半日勤務という選択肢もあり、その場合半日の休業に対し上限15000円の半分がおりることになる。

業務量にあわせて、社員の勤務を調整し、固定費を雇用調整助成金で補おう。

条件も緩和され、申請もカンタン、事前計画申請も簡素化

現在の申請条件は以下となっている。ほとんどの企業が対象になるのではないだろうか?

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
  2. 最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)
    ※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。
  3. 労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

そして雇用調整助成金の対象者は雇用保険被保険者であることは注意したい。
ただしアルバイトなど雇用保険にはいっていない従業員向けにも緊急雇用安定助成金という制度がある。4月から9月までの雇用した賃金について、解雇をしていなければ10割助成される制度もある。

助成金の申請は書類の手続きが大変と考えている経営者も多い。実は相当簡素化されていることをご存知だろうか?

以前はたしかに申請が大変だったが、この特別措置化、申請が大幅に簡素化されている。

また以前は事前計画として休業前に計画書を申請する必要があったが、その申請も必要がなくなっている。事前計画不要は6月30日までであったが、現在9月30日まで延長となり、現在12月までの延長が検討されている。

だから明日から休んでもらっても、事後申請での助成金獲得が可能である(2020年8月現在)。

加算金で社員教育にも使える 

そして雇用調整助成金で休む社員に、教育訓練を施した場合は加算金という助成金の上乗せがある。

今年になり、オンラインでの受講も許可された。この制度を利用すると1日2400円(中小企業の場合)、従業員1人あたり支給される。

この制度を利用すれば、休業中に社員に新しいスキルを学んでもらうこともできる。

この制度で20日間従業員が学べば月に48,000円の加算金がはいる。

大金ではないが、休業中に社員のスキルアップをしながら加算金を受け取れるメリットは少なくないだろう。

対象となる研修は以下の条件である。実際には地域ごとのハローワークによって条件がことなるため確認をしたほうがいいだろう

  • 業務に関わることで知識や技術の向上を目的とする講座
  • 勤務時間中受講することが前提となるため常時双方向で対応する講座
  • 受講後受講した従業員による学習内容に関するレポート

まとめ

なお助成金の申請や条件は本社のあるハローワークが管轄となる。必ず地元ハローワークで確認してほしい。

申請は事業主自身か社労士ができる。

また現在書類申請も簡素化されているので自分でもハローワークに相談すれば社労士抜きで申請もできるだろう。

ハローワークも現在電話は繋がりにくくなっているが、最寄りハローワークに行けば丁寧に教えてくれる。

しかし残念なことに、ほとんどの社労士がこのような助成金について新規の相談をうけつけず、顧問先の申請しか対応していない。

社労士としてはどのような労務をしているか分からない新規の企業において、このような助成金申請をして厚生労働省の方針に沿わないことをしたり、ハローワークで問題になる方が困るためだ。

申請方法について詳しく知りたい人は以下の動画を参考にするといいだろう。

1)条件・注意点と必要な書類ー雇用調整助成金

2)記入例(様式6と1)ー雇用調整助成金

3)記入例(様式4、7〜9)ー雇用調整助成金

4)テレワーク導入支援ー雇用調整助成金

そして教育訓練による加算金を活用できる研修もある

ただし研修内容によって休業手当と加算金を足した上で手元に戻る計算をしている教育会社と、加算金のみで対応している教育会社がある点注意したい。休業手当は本来社員に支払う賃金にあてるため、企業は休業手当分を負担しなければいけないからである。

加算金+休業手当で教育訓練を提供している企業

雇用調整助成金等を活用する社員研修:神田ITスクール

20日間の費用は140,000円となります(1人あたり)

加算金で教育訓練を提供している企業

接客研修eラーニング(オンライン学習動画)講座:リョウケン
1社あたり22,500円+1従業員あたい2500円になります

ウェブ解析プラス:(一社)ウェブ解析士協会

詳しい説明は厚生労働省の雇用調整助成金のウェブサイトをご確認ください。

助成金の申請の詳細は直接ハローワークに確認するか、以下一覧から最寄りのハローワークにお電話ください。

現在大変込み合っていて、待っているとコールセンターにつながることがある。コールセンターでは話を聞いて最寄りのハローワークから折り返し連絡をしてもらうことをお願いでる。

ただし必ず折り返しの連絡をお願いすることはできないため、急ぎの場合はコールセンターにつながっても引き続き最寄りのハローワーク担当が電話に出ることを待った方がいいだろう。

Toshiaki Ejiri: Born in Fukushima, working as web analytics consultant since 2000.