わたしがコーチングを行うにあたり、限られた時間でコーチを受ける人(以下クライアント)に最大のメリットを提供するために、以下のことを事前に伝えておきたい
コーチの仕事、クライアントの成功と挑戦を支援する仕事
コーチの仕事とはクライアント(コーチを受ける人)自身では難しい、成し遂げたいことを実現するお手伝いが仕事だ。クライアントが本来もつ能力を信じ、一緒に実現するためのマインドの力を最大限に引き出すことのお手伝いをする。
最初にクライアントは、成し遂げたいことをゴールとして設定するのだが、このときにゴールをHave to (しなければならないこと)ではなく、Want to(やりたいこと)をもとに設定しなければならない。しかし多くの人はHave toばかり考え、縛られている。Have toのゴールは意志力や根性でしか解決せず、それを追い求めても幸せにはならないし、本当のマインドの力は使えない。Have toはもちろん仕事や生活において存在する。またHave toがWant toだと思いこんでる人も多い。Want toは何かということを見極めなければいけない。
コーチはコンサルタントではない
「問題を解決する」という意味ではコーチとコンサルタントは似た目的を持つが、コーチはコンサルタントとは違う。コンサルタントは、知性やノウハウを駆使して、実際に行うべき計画や設計やタスクを「実働で支援」することで「問題を解決」する。コーチではこのような実働で支援することはクライアントのゴールに介入(自分が参加することでゴールを歪めたり、本人のゴールではなくしてしまう)ことにつながるためしてはならないことになっている。
一方で、コーチングでよく言われる「答えは自分の中にある」ということで、わざわざ知ってることをアドバイスしないことはない。私の知る経験や知性やノウハウは共有する。しかしそれはクライアントのゴールへの挑戦を支援するためである。
コーチはカウンセラーでもない
「問題の解決」という意味ではコーチとカウンセラーも似た役割を持つが、コーチはカウンセラーとは違う。カウンセラーは、現状抱えてる精神的な苦痛や精神的不調に対し、「回復の手助け」をすることで「問題の解決」を支援する。コーチは現状の苦痛や精神的不調から回復する手助けはできない。コーチは現状ではなく今後成し遂げたいことに対し、マインドの力を引き出すお手伝いをすることである。
私もコーチとしてカウンセラーとしての役割を担うことができるのが理想的だが、その能力は今のところ私にはないと考えていて、もちろん心理的苦痛を和らげるお手伝いもできるかぎりするが、現状の精神的不調については専門の心理的カウンセラーに相談することをおすすめしたい。
でも普通のコーチとはちょっと違う
コーチングの書籍を読んだことのある人や、実際にコーチを受けたことがある人もいるだろう。
私が学んでいて実践したいコーチとは少し違う。
一般的なコーチは傾聴共感が重要で、クライアントの中にある答えを質問力で引き出すことと言われている。「答えは自分の中にある」のでクライアントの話を聞き(傾聴)、クラアンとの感情に共感し、自分の気づきをもとに、答えを引き出すというアプローチが用いられる。アドバイスをしてはいけなく、質問で答えを引き出すことが役割となっている。
私が学んでいるコーチは、傾聴共感禁止である。もちろん話は聴くし、そこで共感覚を意識することは必要だが、それは提供する価値ではなく、その結果クライアントを動かすことが目的である。そこで認知心理学の知識や技術を用いながら、その人のマインドを、成し遂げたいことを実現するように書き換えていくことをする。
だから最初私のコーチを受けたら、驚くかも知れない。聞きながら知ってることはアドバイスするし、その話がコーチとして提供したい価値を与えられないと思えば、クライアントの話を遮ることもある。コーチはカウンセリングと違い、聞き役に回ることが役割ではない。クライアントの成し遂げたいことにマインドを変えることが役割である。
コーチとして提供したい価値
コーチを通して私が提供したい価値は以下。
- 自分が本当にしたいことを明確にできる
能力の輪の境界線の明確化。Want toの源泉となる、他の人より好きで得意なことの発見。 - 現状では達成方法が分からないようなゴールをバランス良く設定できる
現状の外のゴールの設定。今の自分では実現が怖くなるような現状の外のゴールの設定。それも生活や趣味などバランスをもって複数のゴールを設定する - ゴール達成のためにマインドを活用できるようになる
無意識の力を使うことで、意識しただけでは達成が困難なゴールに向けて自己が成長し、環境が整備できるようになる - クライアントのゴール達成を信じ、挑戦を応援しつづけるパートナーを見つけられる
これらの活動を通し成長し続けることに対し、変化し続けるゴール対して応援しつづけるパートナーとして常に相談しつづけることができる
これらを通して現状の外のゴールが人生の全方位で置かれ、ゴール達成を現状として活動することで、実現のため無意識が働き始める。自己効力感と呼ばれるエフィカシー(根拠のない自信なんていい方もする)が高まる。エフィカシーを高めるために自分の肯定的なあるべき姿を宣言する(これをアファーメーションという)。そうすると無意識の力で様々な知覚や人脈が書き換わる。自分の知覚できる情報や人との接点が変化し(これをRASが発火するという)、自分が見えていなかったことが見えるようになり(スコトーマが外れるという)、今までと違う人や知識を手に入るようになっていく。その繰り返しで、意識をしただけでは決して達成できない高みを知ることができる。
なお、これはゴールを夢見たら叶う、なんてスピリチュアルの話をしたいわけではない。ゴールを置いても達成できないこともあるし、クライアントの気が変わってゴールを更新することもある。大事なことは、ゴールをもつこと、達成に向けて動くことである。
一度でバランスホイールすべてのゴールが決まることはまず無いし、いきなりビリーフシステムが書き換わった通りに無意識が働き出すことも稀だ。ゴールが本当にWant toに基づいていなかったり、無意識が働く臨場感が持てないこともある。だからコーチはクライアントの達成できる能力を信じて、挑戦を支援することになる。
価値を提供するためにコーチが行いたいこと
上記の様な価値を提供するには、以下のことをコーチが実施することになる。
1.現状の外のゴール設定
自分ひとりでは成し遂げられないことを実現するには、現状を超える、怖さを感じるぐらいのゴールを設定する必要がある。ただ偏ったゴール(仕事など)を追い求めて他のゴール(過程など)を無視したゴール設定では、結果不幸になるし、追い求めたゴールも達成しにくい。人生での全方面でバランスをとったゴール設定をまず支援する。
2.Want toに基づくゴール設定のため能力の輪の境界線の特定
まず現状を超えたゴールを設定するときにHave toではなくWant toに基づいたゴールを設定しなければいけない。自分は何がWant toなのかを見極めなければいけない。その答えは過去にある。自分が生きていて、周りから反対や禁止されていたにもかかわらず、自分がやってしまったことで、しかも他の人と比べて上手にできていることがあるはずでそこにヒントがある。それは他の人と違う自分が好きで、得意な能力だ。この自分が好きで得意な能力と、自分が好きではなく適正もないことの境界線を知り、その好きで得意な能力をもとにWant toを明確にし、現状の外のゴールを設定する必要がある。このことを能力の輪というが、コーチとして過去を振り返りながらこの能力の輪を見極めて、本当のゴールをクライアントと共有することが必要である。
3.マインドの書き換えによる無意識の活用
そのような現状の外のゴール(私はとんでもないゴール)を設定すると、意識できる能力だけでは達成できないと脳が考え、無意識の力を使うことが求められると判断する。無意識の力を使うこと、それがマインドの力を使うことにほかならない。適切にマインドの力を使うと、努力や根性ではなく自分が導かれるように、現状の外のゴールに自分が向い始める。その結果自分が意識しただけでは到底達成できないようなことを達成できるように自分が書き換わる。この目標達成への挑戦の支援がコーチの提供したい価値になる。
4.ビリーフシステムの書き換え
しかし、現状の外にゴールを設定するだけで無意識が働き、脳が活動し始めるわけではない。無意識は呼吸などの意識しなくても生命を維持する活動(ホメオスタシス)を管理している。体温を一定の温度に保つように、無意識は現状に戻ろうとするからだ。意識が一時的にゴールに向かいたいと思っても、自分が快適な状況(コンフォートゾーン)は現状だから、無意識も現状に戻ろうとする。この状況では無意識は活用できない。この無意識が向かおうとする現状の自分についての先入観、これをビリーフシステムという。
そこで無意識をクライアントが望むように活用するため、このビリーフシステムを現状の外にゴールに書き換える。ビリーフシステムを現状の外のゴールに置くことで、自分のコンフォートゾーンをゴールに移すことができる。そうすると無意識が変わりホメオタシスも変わる。
初回のコーチで実現したいこと
そして、この文章を読む人は初回のコーチを私から受ける人も多いと思うが、初回のコーチでは以下がゴールとなる。
- 仕事領域での現状の外のゴールの設定
仕事がない場合は他のゴールも可能だが、人生で最も時間をつかっている仕事のゴールを決めたいところ - ビリーフシステムの書き換え
達成したゴールからの視点で現状を見られるようにするためにエンドステートを立てたり、エフィカシーを高めるためのアファーメーションを行うことで、ゴールへの臨場感を高め、ビリーフシステムを書き換えコンフォートゾーンがゴールに移るように設定する
私の体験
ここまでで、コーチを受ける前の説明は終わるが、最後にこのコーチングの正しさを私自身の半生で感じていることを紹介しておきたい。
私が無意識を使い始めたのは16歳高校受験のときだ。当時は潜在意識といい潜在意識を使うことで目標を達成するために無限に湧き出る力を実感していた。12月から受験勉強を初めて2月の試験で海城高校に受かったのは、福島の学力の低さからいっても奇跡的だろう。それは毎日アファーメーションを行い、エフィカシーを高めていたからだ。小さな紙に自分の成功イメージを書き、ぼろぼろになるまで読んで合格の感情を再現していた。
このちからは起業でも発揮された。26歳で岡山県倉敷市で全く異業種のサラリーマンをしてた私が、共同創業者の小坂と出会い、アクセス解析を発見し、2000年に起業したのは、無意識の力をつかっていた。常に数多くの中小企業を支援し、成功させることにエフィカシーを高め、常にアファーメーションを行ってきた。
しかしここ10年明確に無意識の力をつかっていなかった。そしてその頃の使い方は我流で、バランスホイールもなく、現状の外のゴールだったのは単純に私が無理なことしてただけだった(笑)。それがこの方法を用いてから周りも知ってる通り、大きな成長を全方位で実現できている。
私としてはこの成功体験を、多くの人に共有するための重要な方法がコーチングだと思っている。クライアントのマネージメントやコーチングのスキルはこれから成長させるが、このアプローチそのものはより多くの人が知り、自己実現をしてくれればいいと願っている。