ポジショントークしなくてすむ場が必要だ

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ふと15年ぐらい前のことを思い出した。

2005年ごろだっただったろうか。web2.0という言葉が使われはじめたころだ。アルファブロガーが集まるディスカッションに参加させてもらう機会があった。

テーマはアップル。
スケルトンボディーのiMacをリリースしたあと、iPodやiTunesを展開しはじめた頃だった。

当時パソコンメーカーだったAppleはこの音楽機器やソフトを展開してどうやって事業化していくのだろうか、という議題だった。

このとき参加したブロガーは今振り返ると錚々たるメンバーだった。いまや誰もが知るブロガーもいた。

当時、Movable typeが始めたウェブログによって、個人の論客がどんどん自身の意見を発信していた。読者もライブドアなどが提供するRSSリーダーを利用して購読していた。この頃のブロガーの記事は日記というにはあまりに長くて密度の濃い記事だった。RSSリーダーを使うと無料でどんどん読める時代だった。ネットバブルが崩壊して、しばらくしてウェブやインターネットがまた動き出す、そんな時代だった。

そしてインターネットは動き出した。

いまやあの頃の優れた論客だったアルファブロガーたちは経営者になったり、マスメディアや外部メディアに執筆したり、登壇するようになっている。

つまりアルファブロガーの多くはインターネットで人生をプラスに転換することに成功した。

しかしいま、主観的だけどブログを書く人は本当に減ったと思う。見ているメディアがRSSリーダーからSNSに変わったからかもしれない。各自自身の意見を掲載するために公なメディアを用いるので、ブログを書く必要もないのかもしれない。

でもウェブ業界で、もう偉くなってしまったみなさまもブログを書いたらいいと思う。失言もあるかもしれないけど、お互い大人だし、いい感じで失言できるんじゃないかな。あるいは匿名で書いてもいいかもしれない。

自分のメディアをもつこと。これはブロガー本人にとっても必要で、私たちが新しいものを受け入れられるおじさんになるために必要なことではないかと思う。

公のメディアや、企業の責任者として発言を求められると、相応のポーズをしてしまうはずだ。それは大人として大事だけど、責任者としてポジショントークばかりしてると、ポジションだけ考えてしまう。つまり保身だ。

ポジションを果たすべく、問題点を指摘しつづければ問題点指摘する人と思われるし、自分もそうなってしまう。

まあ立場ある人なら仕方がないことで、
たのしい!
どーでもいい!
人の勝手だよねー!
みたいな発言を公で普通求められないからね。

facebookでたのしい!とかどーでもいい!とか発言したっていいのだけど・・・

本当は他社のメディアに載せてリコメンデーションの軸として流されるコンテンツではなく、自分の意思で活かしたり殺したりできるどっかに残してほしいなと思う。

ちなみに先程のアップルの話だが、それほど長く続かないだろう、という話になった。アップルの収益源はPCだし、iPodの原価を考えるとそんなに粗利は多くない。そしてiTuneによる収益も大きくはない。この音楽プレーヤーによる収益の貢献は小さく、今後Macの販売につなげる展開をするだろう、という話になった。

もちろんその後まさかiPhoneが出てくるとかiPadが出てくるとは思ってなかった。そしてこんな高収益企業になるとは、そして私がMacをつかうようになるとは誰も想像しなかった。

未来を予測するのは難しいね、ということだ

Toshiaki Ejiri: Born in Fukushima, working as web analytics consultant since 2000.