キリロム工科大学から帰還

今日は日本人学生に向けて初級GAレポーティング講座を開催。

学校のGsuiteアカウントでなぜかGoogleアナリティクスにログインできないことや、途中でWifiやプロジェクターの不具合がありつつも、なんとかGoogleアナリティクスを使いこなすところまで教えた。

昨日のウェブ解析士と今日の初級GAレポーティング講座があれば、ウェブサイトの基本的な解析はできるはず。今回教えたのは大学1年生だが、いままで英語で教わるより実践中心の授業だったからだろう、正直今までの学生で一番優秀な方だったと思う。

わたしが同じ立場にたったら簡単ではないことだ。それに説教くさいのも嫌いだから言えなかったけど、言いたいこと書いておく。

彼らはみんな悩んでた。ほかの20歳にも満たない若者だ。他の華やかな大学生活を見ていたら自分たちの環境は違いすぎると思うだろう。筑波大学行った友達ですら隔離された気がすると嘆いていたのだから、無理もない。

私も親から大学なんて遊びに行くようなものだ、と言われた。でも世界でそれは相当珍奇だ。大学行ったらがっつり好きなことを勉強したらいいと思う。

だから日本風の大学生なんて相手しなくていいから、がっつり与えられた課題と向き合うといいと思う。

そして大学時代になりたいこと、やりたい方向性が見えなかったらもったいないな、と思う。日本の学区制度と就職制度によって、ほとんどの人が見つけられない。

プログラムっていっても建築ぐらい幅広くてやるべきことはたくさんある。やりたい分野は必ず見つかる。

たとえプログラミングぎょうかいにいかなくても、プログラマの文化、というものが学べるのはとても貴重だ。オープンソースコミュニティ、ハッカー文化などなど。きっとこれからの社会道徳になる。

この得難い機会をつかんでいる彼らが、置かれた環境に適応して、ぜひ世に役に立ってほしい。

急拡大したCoconuts school

そしてキリロムに行くときの個人的な大きな目的の一つが、地元にあるCoconuts schoolの見学。

最初見たとき「ずいぶん派手な小学校だな」だった。
でもここの飾りはちょっとちがう。

ゴミで作られた学校だ(写真は2017年)。
見ただけで涙腺が緩む。この壁の飾りはぜーんぶゴミ。

2年前にジョギングのイベントに参加したときに教えてもらった学校だ。キリロム大学のスタッフから聞いたストーリーはこうだ。

あるホテルで努めてた青年が、観光でこの小学校の近くの通りを車で走ってたところ、子供がたくさん物乞いをしに集まってきた。そこで青年は、平日なのに学校も行かずなぜ物乞いをしてるのか、と聞くと、学校は近くになく両親に言われてやってるのだそうだ。

それを聞いて一念発起した青年は、「おし分かった来年学校作るから、まってろ」と言い残して、1年後に学校をつくった。昔あった廃校を勝手に直したと聞いてる。

学校は無料、でも子供には「タダじゃ学べない。ゴミを拾ってきなさい」という入学条件を課した。

カンボジアはゴミの投棄が目立つ。そのゴミをつかって学校を装飾した。学校全部がゴミで飾られている。もうモダン・アートの世界だ。

いまやプノンペンの有償の学校の収益と寄付でこの学校は成り立ってる。去年に比べ事務局が増え、校舎が増え、寄付によりバイクやトゥクトゥクが増えてた。バスケットやサッカー場もできていた。

やばいよ、全部ゴミで作ってる。

いまでも入学資格はゴミ10コ拾ってくること、らしい。
無償で学校はじめてしまって、あとで寄付と収益がついてくるなんて・・・私にはできないな。

キリロムはクレージーなやつが多すぎる。賢く手堅く商売する人も立派だが、クレージーなやつにたまらなく惹かれるし、「ぼくはまだまだ何もしてない」と思えることが最大のエネルギー源になる。

私も彼らのクレージーからもっと見習わなければ。

 

Toshiaki Ejiri: Born in Fukushima, working as web analytics consultant since 2000.