マーケティングは詭道にあり

マーケティングは詭道にあり

中国や日本の経営者やビジネスパーソンに人気な書物に「兵法」があります。孫子が書いたとても短い書籍で、簡単に言えば戦争に勝つ方法を記しています。

戦争についての書籍だと、クラウゼヴィッツの「戦争論」も有名ですが、この2つの書籍のコンセプトの違いは興味深いものです。

クラウゼヴィッツの戦争論は名著ですが、内容は戦争を超えて政治にも言及した体系的で重厚で論理的なものになっています。西洋の軍事に司る人は必ず手に取る名著と聞いています(まだ読んでません・・・すいません)。

一方兵法は戦争に集約しており、戦争で勝つための心構えや重要なことを書いています。中国古典にあるような端的な文章なので、政治的な解釈もできることもあるかもしれませんが、基本的には戦争で勝つための心構えや優先順位を書いたものです。

私はクラウゼヴィッツと孫子の考え方で最も違っていて、かつもっともマーケティングにも当てはまる言葉に「兵は詭道」があると思ってます。

原文

兵者詭道也、故能而示之不能、用而示之不用、近而示之遠、遠而示之近、利而誘之、亂而取之、實而備之、強而避之、怒而撓之、卑而驕之、佚而勞之、親而離之、攻其無備、出其不意、此兵家之勝、不可先傳也、

書き下し

兵は詭道也、故に能にして之に不能を示し、用にして之に不用を示す、近きにして之に遠きを示し、遠きにして之に近きを示す、利にして之を誘ひ、乱にして之を取り、実にして之に備へ、強にして之を避く、怒りて之を撓し、卑しくして之を驕らせ、佚而勞之、親しくして而之を離す。其の無備を攻め、其の不意に出ず。此れ兵家の勝、先には伝ふべからざるなり。

https://sonshi.roudokus.com/sonshi01_03.html

クラウゼヴィッツが正攻法なのに対し、兵法は搦手もありな印象があります。その要素の一つがこれだとおもいます。

要するに戦争は騙し合いだということであり、詭道主義とは人を欺くことを好む人で決してイメージではありません。もちろんマーケティングで人を騙すような広告を打つ、ということを言いたいわけではありません。私が言いたいことは、人の想定街であることがマーケティングだということです。

言い換えるに人を感動させるのは人だけだ、ということです。

2.顧客主義を貫き、行動します

機械学習などを筆頭にしたAIは連続的なデーターを扱い、その先に未来を予測することは得意です。運用型広告の入札額などは株式投資やFXの運用と同様、この機械学習を応用した展開はこの業界で一定の役割を担っています。

しかし、このような運用型広告の最適化がどれだけ進化しても、最高の結果を得られることはないとおもいます。なぜなら人類はそんなものを望んでいないからです。

牛丼に例えてみましょうか。
AIを使いセンサーとCRMと温度、ユーザ属性情報から、塩分や牛肉の配分などを最適化したシステムを作ったとします。

もちろん多少売り上げは伸びるかもしれないけど、大きくは無いと思います。もし私たちが好きになる牛丼があるとすれば、今までのサービスとは全然違うものだからです。

たとえば焼いた牛丼はブレイクしました。ステーキの立ち食いは大ヒット素ました。それが上記の最適化では決して生まれません。

私たちが人や商品やサービスが好きになるとき、サプライズがあるのです。もちろんネガティブよりポジティブでサプライズさせましょう。

思ったサービスが実はすごい良かったとか、お得だったとかがあれば評価するでしょう。でも実はもっと深いコンセプトだった、とか、そのサービスの担当者が熱かったとかの方が成果につながりやすくなります。

私たちはそんな機微を拾うことでマーケティングすることが一番成果が上がるのです。

そして謙虚であることです。千利休の茶道の詫び寂は、多分戦国時代の処世術でした。金銀散りばめた華美な装飾を避け、シンプルな説明とルールで語り合ういます。

そこで詫びのような何もない空間を大事にしました。そして寂。そのきっかけさえも物語をする必要がありました