履歴書で面接官をコントロールする

履歴書で面接官をコントロールする

さて、大手商社を目指したものの、そんなこんなで字が汚くて葉書を送っても読んでもらえない。OB訪問しても人扱いされない、大学の成績も悪すぎて単位もなくてアピールすることが何もないという状態だった。

ということで絶望的だったのだが、考えた。

よくよく考えると就活は受験と違う。受験は決められたテストで同じように受験して優れた成績を修めなければならないが、就活は勤めたい会社に働いてもらいたいと思わせることだ。別に同じテストを受けて人より優れた成績を修めることは一つの方法でしかない。どんな方法でも良いのだ。就活はビジネスのスタートライン、一番知ってる自分という物を売り出すということだ

さあ、どうやって自分を売るか考えた。自己分析ってやつだ。

まず葉書はやめた。どう考えても不利だ。そこで電話でアポを取れるようなところとインターネットで応募できるところにした。いまとなては逆にレアなんだろうが、当時そんなに多くなかった。大手商社は当然O Bしかルートはなく体育会ではない私は全く無理だった。しかし情報系の会社がインターネットで応募を受けてつけてて、NTTなんかもその1つだった。字の汚さわからないから片っ端に申し込んでみた。

次は履歴書だ。単位もなく部活もしてなくバイトとDJをしてたので、書くことがない。じゃ作ることにした。そして履歴書から何を質問されても自分の得意なところにしか行かないようにした。

私の得意なことはマニアックな受け狙い。レゲエのDJなんかやってんだからそういう特技しかなかった。良いところがはっきりすればOB訪問でも1次面接でも次に行けるはずだ。

特技は麻婆豆腐にした。ま、聞かれる、なにこれと。

美味しい麻婆豆腐の作り方って知ってますか?と答える。それはひき肉です。ひき肉は肉の塊から包丁で叩いて作るのです、滑らかさが違うのです。と熱く語る。高校生の頃に買った初めてのレシピ、101の幸福なレシピからパクったのだ。まさか著者も就活で使われるとは思わなかったろう。これはウケた。もしかしたら1次面接通ったのはこいつに麻婆豆腐作らせてみようと思ったのかもしれない。

レゲエも2000枚のレコードを紹介した。バイト代で買い貯めてたのだが、2000枚と言ってもアルバムではない、7インチ、シングルレコードである。まそんなことCD MD世代の人が聞くこともなく、へーすごいねーということになった。

それで分かったのは面接官やOBは履歴書で話をする。だからそこを最適化すれば、こっちの思い通りに質問は誘導できる。馬鹿みたいな履歴書になったが、面接通るからこれで良いやということになった。就職活動困ってたバイト仲間にFAXしてやったりもした。

全部マニアックなウケ狙い。だからわかりやすい、でも学歴でも部活でもない軸でのPRは他の学生と比較ができない。だから次に行けるのだ。

他と比較して優れた成績があれば真正面から勝負すべきだが、何もない私みたいな人は違う軸を立てると良い。そうすれば判断に迷い、次に行ける。そんなことを学んだのだった。