「地方中小企業を元気にする社会を作りたい」という言葉は私にとって、苦肉の策だった。そんな損なこと、報われないことを考える人はいないだろうと思っていた。
しかし私として父の会社を継ぐことを考えてて最大公約数の言葉った。嘘ではないが、直球ではない言葉だった。
そして二次面接でおっかなびっくり伝えると、想像以上に面接官が反応してくれた。それは素晴らしくて、うちの会社ではこんなことをしていると、熱く教えてくれるのだった。
今振り返ると面接官でそんな思いがある人もいるのかもしれない、でも仕事で貢献するとか俺はこうなりたい、なんて学生に比べ社会貢献性が高いメッセージだったのかもしれない。
こうして二次面接では企業研究をする必要がなくなった。面接のたびに
「私は地方中小企業を元気する社会を作ろうと思っています。私はそのために最適なステージがどこか探しています。」
なんてクソ生意気なメッセージを伝えると、何も話さなくても面接官からPRをしてくれる。私としては素晴らしい取り組みがあれば良いね!なんて形で面接が進んだ。ほとんど私が面接官のPRを聞く立場になっていった。
でも私も真面目に受け止めていて、素晴らしい会社は商社だけじゃないと思い始めた。商社じゃなくてもなくても良いかもしれないと思い始めていた。
もう忘れた頃にNTTから連絡があった。Javaで作ったインターネットフォームからの応募にOBが面接してくれたのだったSPIも何もなかったし、気さくな最初のOB、伊藤さんがパソコン好きだったのでアスキーの雑誌ログインのライター伊藤ガビンさんの話で盛り上がった。まあ俺はないだろうあの有名な会社と思っていた。
しかしそれでは終わらなかった。