2016年のウェブ解析のトレンドと私の感じる危機感

2016年のウェブ解析のトレンドと私の感じる危機感

2016年ウェブアナリストもウェブ解析士も含めたウェブマーケターは依頼された仕事をそのままやってたら将来危ういと思う。なぜなら2016年のウェブは大きな変化が起きるからだ。どう変化するかについて2015年のうちに書いておきたい。

去年、2014年に話してた2015年度のトレンドは以下だった。

    まずオープン(より明らかになる)な流れとして

  1. タグマネの普及
  2. ユーザIDによるマルチデバイス解析の普及
  3. マーケティングオートメーションの普及
    次にクローズ(より分からなくなる)な流れとして

  1. 自然検索キーワードは見えなくなる
  2. Cookieが取れなくなる
  3. クローズドでシンプルなSNSが流行る

Yahoo!が自然検索フレーズを隠したときはやっぱり、と思った。
来年のトレンドは以下かなと思う

  1. Dark traffic
  2. Multi channel
  3. User metrics

では以下詳しく書いていく

  1. Dark traffic
    簡単に言えば2016年から検索エンジンのキーワードだけではなく、リファラーが取れないシェアが急増する。
    まず検索エンジンのシェアが下がる。もう2015年から下がり始めているが、サーチメディアのシェアは2016年以降もはや上がらない。検索エンジンを利用して情報を探そうとする新規ネット利用者より、検索エンジンから違う手段に情報探索方法を進化させる既存ネット利用者の動きのほうが早いし、市場へのインパクトは大きい。
    一方で増え続けるのはソーシャルメディアやメッセンジャー経由のトラフィック。これらのメディアはスマホアプリでの利用が増えるため、ノーリファラーになる。2017年には40%ぐらいがノーリファラーになるんじゃないだろうか。
    もうサーチもデスクトップも、テレビや新聞同様、衰退するメディアだ。まだ、SEOとかリスティングといったトラフィックばかり注目して、アクセス解析テクニックを駆使しているようだと、クライアントから必要とされなくなるかもしれない。それはマルチチャネルの時代とも大きく関わっている。
  2. Multi channel
    マルチデバイスではなくマルチチャネル。2015年、スマホやPCを利用するユーザの行動を把握するためにマルチデバイスでの解析は重要だった。その場合、ログインIDなどを使ってデバイス間の行動を紐付けるなどの技術が必要になる。
    しかし、いま感じるのはその努力が無駄かもしれないということ。それがマルチチャネルだ。チャネルとはオンラインオフライン含め様々なチャネルのこと。オムニチャネルも似ているが、オムニが融合、統合という意味に対してマルチチャネルはそれぞれ独立して接点になることを意識した定義だ。
    たとえばYoutubeで紹介した商品のティザームービーで出演した俳優が、各地でキャンペーンを設けてロードーショーを行い全国ツアーを開催し、そこでテレビ番組でも取材を受けること。
    たとえば観光地紹介のキャンペーンサイトを開催しておいて、紹介する観光地にはインスタ用撮影オブジェを配置して番組名ハッシュタグを紹介し、その写真をオウンドメディアでコンテストを開催すること。
    従来の無理矢理企業がユーザをつなげることではなく、ユーザの行動に合わせてメディアをマルチに使うことが大事で、思った通りにユーザを動かすことではないとすること。いままでハイテクで解決しようとしたオンライン・オフラインのユーザ行動最適化はすべて見直したほうがいい。IoTもマーケティングオートメーションも、企業の売りこみたい精神ば先行しすぎてて、ユーザのことを見ていない。いったん技術論を捨て、ユーザ理解するところからスタートしなおさないと、このままデータサイエンティストやDMPのような流行り言葉と一緒にウェブマーケティングが終わった言葉になってしまうと感じる。
  3. User Metrics
    User Metricsユーザの行動分析のことですと言うと、ウェブ解析で使われているアクセス解析や競合他社分析ツール、売上や受注件数などをイメージして、ああウェブ解析と近いよねと思う人が多いが、実態は全然違う。User Metricsではアクセス解析はほとんど用いられていない。彼らの視点でいえばWeb Analyticsは問題点を見つけるのには使えるが、「なぜ」、つまり問題があるのかは発見できない、ということだ。そこでアンケートなどのリサーチによる「標本抽出」での「統計手法」が用いられる。
    問題の性質やデータの種類によって、定性的分析、定量的手法、全数調査、標本調査。様々な手法を適切に使い分けられるか?ランディングページでの離脱率の改善でどれをどう使うか?アクセス解析やA/Bテストのような全数調査しか知らないようではもう何も分からないに等しいかもしれない。なぜなら今までの前提だった「PC経由で」「検索エンジンを使ってて」「男性若手サラリーマン中心のユーザ」がもう失われつつある集団なのだ。その前提でユーザと向き合わないと判断を間違える。

このような理由で、今年は一旦私たちウェブマーケターやウェブ解析の人たちは、ビジネスでの貢献の仕方、自分たちが得意とするウェブマーケティングのあり方をきちんと見直すべき時期に来ていると思う。

どこかで文章にまとめようと思っているが、自分たちがどう働くべきかを考える「私たちがはたらき方を決める」というイベントを東京で2/27に開催する。このイベントでは2016年からウェブ解析士の制度を大幅に変えることを合わせて説明する。ウェブ解析はデジタルマーケティングにおいて最も重要な役割を担うことに反論はないと思う。その中で、私たちがすべきことは本当に企業がビジネスの成果に活用できる人材やサービスの提供だと考えている。そこで大きな制度改革を予定していて、そのこともこのイベントの中で話そうと思う。

ウェブ解析士マスターはこれからの仕事のあり方を伝えるので基本全員参加してほしい。上級ウェブ解析士もできる限り参加してほしい。時間都合がつくなら初級ウェブ解析士も参加しておいたほうがいいと思う。ウェブ解析士マスターの皆さんは受講生に参加するよう伝えておいてもらいたい。

もうアクセス解析で時間をかけている時期ではない、初心者にはGoogleアナリティクスをGAIQも含め学べる初級GAレポーティング講座を準備した。上級者にはGoogleアナリティクスを使ったレポートを5分で終わらせるためのAPI活用を含めた上級GAレポーティング講座を揃えている。それぞれ近日面接を終えたウェブ解析士マスターに告知するので、学ぶことをお勧めしたい。