アナログプレミアムの時代

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レゲエが文化遺産になっちゃたよ、と美容師さんと話をしてた

この美容師さんは大学生の頃からお願いしてて、彼は私にThe harder they comeとかRockersのビデオテープを貸してくれたのだ。どちらもレゲエにまつわる映画だ。

当時レゲエはジャマイカでレコードでしか生産されない音楽が大量にあり、それらを追いかけるには7インチレコードを買うしかなかった。大学生にはお金がいくらあっても足りなかった。

そのころのレコードは今でも屋根裏にあり、年代物のTechnics Mk2共に眠ってる。もう再生することはあるんだろうか・・・

アナログ復活の兆しが見えてると言われる、でも復活どころか、プレミアムがつくと思っている。

サンディエゴに行ったとき、おしゃれな雑貨屋にうず高く積まれてたものは全部アナログだった。レコードプレーヤー、カセットテーププレーヤー、インスタントカメラ。どれもガチガチのアナログプレーヤーたちだった。

興奮してインスタントカメラを買おうとして「Fujifilm」と書いてあって「アメリカで買うことはないか」とやめたのだけど、カセットプレーヤー買えばよかったと後悔している。

デジタルの利便性は相当高まった。わたしが大学生の頃、レコードに○のシールで頭出ししてたなんて労力は全くかからない。

便利、ということは価値があるはず、でも「便利ではない」ことに価値がある時代が来ている。それは懐古趣味ではなく、「そんなことまでしてくれて」とか「そんな貴重なもの」なんてメタファーをアナログが内包しつつある。

たとえば、フォントおじさんの関口さんと飲んでたとき、アメリカで録音したFMラジオのメタルテープ(!)のカセットテープを聞いた。これはすごい興奮した。もうあの頃の80年台のFMラジオのDJや雰囲気はもうどこ探したって、多分映画の一コマぐらいしか残っていないのだ。

私がituneからおすすめレゲエのアルバム集のリンクを送ったとしたら、便利にiPodとかで聞けるのだが、多分だけど、聞かないだろう(笑)あなたのもってる10万曲ぐらいに埋もれてしまうからだ。

でももし私が当時持ってたレコードから録音したカセットテープ(昔はよく作った)をわたしたら、どうだろうか。

プレーヤーがあれば聞くかもしれないんじゃないだろうか。カセットテープやレコードで録音された音源を聞けるって、ゆとりのある、贅沢なことになった。もし手元にカセットテーププレーヤーがあるのだとすれば、それは幸運なことだと思う。

そういうゆとりのある空間は人を和ませる。仕事はデジタルシフトするだろうし、マーケティングもデジタルシフトする。そう進めば進むほど、人はアナログに逃げる。だから、そういう場(喫茶店やバー)はどんどん増えるだろう。

これからはカセットプレーヤー搭載のキャデラックとか売れるんじゃないかな(笑)

 

 

 

Toshiaki Ejiri: Born in Fukushima, working as web analytics consultant since 2000.