G.M.ワインバーグが亡くなった。彼の書籍は多岐にわたり「ライトついてますか」というような優しいものからワインバーグのシステム思考法のように難解なものもある。
システムのコンサルタントであったが、彼の書籍を読むとシステムとかプログラミングを超えて、問題と問題解決方法の本質を問う、哲学的な内容である。
私は彼の本によって起業した初期助けられた。
そのときにお世話になったため、私にとって1番の彼の著作は「コンサルタントの秘密」である。墓場に持っていって私の遺体といっしょに焼いてほしいといつも言ってる本である。
どうだろうこのダサい表紙(笑)。絵も古い感じがして、決して安い本ではない、しかしこの本を何度買い直し、読み直したか分からない。
2001年中小企業向けのアクセス解析を軸にしたコンサルティングをスタートさせたとき、私達には何の実績も経験もなかった。
それでも見よう見まねでアクセス解析を軸とした提案をもとに数件のウェブサイトの構築やコンサルティングを受けることができた。実力というより「まあ若いしやらせてみるか」的なものだったと思う。でも壁に衝突した。
D社から独立して地方活性化のコンサルタントから依頼をうけたネットショップと商品紹介のウェブサイト構築とコンサルティングの依頼だった。地域活性化に関心が高かった私達としては、意気投合してやれるやりがいのある仕事だった。
しかし結果として仕事はキャンセル、1円も取れなかった。デザインにしても契約にしてもサイトにしても何もかもが甘かったためである。コンサルとして仕事している彼にとって許しがたかったことだったに違いない。散々怒られて、さんざん頑張った仕事も1円も取れず、途方にくれてしまっていた。
新規案件もなく、途方にくれて「アクセス解析といってるがそもそもコンサルなんてできるのだろうか?」と自信を失いかけ、解決策を探しに池袋の本屋を除きまわっていた。そのとき今でも忘れない、いまはなき池袋リブロで見つけたのが「コンサルタントの秘密」である。
コンサルタントとしての必要なことがたくさん書かれていた。そして読むたびに様々な寓話が違う視点で捉えられた。何度読んでも気づくことが多い本だった。
私のコンサルタントとしての構えはこの本から得たと言っても過言ではない。
ところで私は、枢密顧問だ代表理事だと名乗るが、「ウェブアナリスト」と名乗らないようにしている。私は「ウェブ解析コンサルタント」。解析をすることは私にとって手段であり、私がなりたく、提供したいことは解析じゃなくコンサルティングだ。問題を解決したいのだ。
コンサルティングとは問題を定義し解決すること。そこには私が人生をかける価値がある。
ワインバーグさんのおかげだ。日本に1人感謝してやまないオジサンがいる。