「もう20年アクセス解析やってきた」という時期も目に見えてきた。
私が知る限り清水誠さん以外、私以上に長い期間見てきた人はいないかもしれない。
アクセス解析を最初やってきたとき、こんなだったよ、という話は残したほうがいいかもと思い、書いておく。
アクセス解析もApacheなどウェブサーバーから生ログを眺めて1行1行エクセルで集計し、それがままならなくてaccessを使ったり、dbに突っ込んでsqlで引っ張り出してた時代があった。
現在に比べればイベントもカスタム件数も何もなかった。だからいまのような高度な解析はできない。それでは昔に比べ今の方がコンサルタントとして提案しやすいかというと、実は付加価値の質は変わったかもしれないけど、変わらない価値を提供できていたのではないか、と思うことがある。手間はかかったけど。生ログを眺めていたころは1行1行特徴的なログをながめるといろいろ気づける。そのプロセスはもうめったにしない。私の感覚では当時、ウェブ解析士で紹介しているマクロ解析とかミクロ解析は存在しなかった。当時あったのはアクセス解析サービスのみ。ミクロを通らずにマクロの解析をすることがあり得なかったためだ。
だからサイトフロー的な解析はとても便利だった。サイトグラムというサービスがあった。多分私の作った株式会社環より前からアクセス解析を軸としてきた唯一の会社、いなかどっとこむ(有)の提供していたサイトフローにアクセス解析をプロットしたサービスだ。石井さんの優れた洞察と経験が、このサービスを補完していたのだと思う。
ウェブ解析をしている人は1度生ログを見て集計してみることをおすすめしたい。ページ閲覧履歴を集計、整列する仮定で必ず気づくことがある。それが提案に生きるから説得力が増すのだ。
昔のようにフォントを自分で定規で引いた人や、カーニングを自分で詰めた人にしか分からないデザインの本質があるし、アンケート調査でも、アンケート結果を1枚1枚集計したから気づくことがある。技術は進化して、便利になることは否定しないけど昔にやったことは案外ずっと生きている。
こういう経験は時代を経ても、むしろ時代を経たからこそ失われない。だから若い人こそ、一旦鉛筆と定規と電卓で仕事してみると差別化になっていいと思う。
司馬遼太郎は手掘り日本史という本を書いてたが、手掘りウェブ解析、きっといい経験になる。