GoogleにもSNSに媚びないメディアサイト「ききごたえ」

GoogleにもSNSに媚びないメディアサイト「ききごたえ」

いわき出身の人とつながっていて、この人はすごいと思う人の一人に中村裕昭さんがいる。確か最初の出会いはラジオ局だった。

彼はセールスレターの達人だ。メールやコンテンツを書かせると、まさに売れるコピーを書いている。いわきにいながらそのスキルで稼いできた数少ないマーケターだ。

またビジネスモデルの組み立ても上手。着物の古着の買取から和風バッグを作るビジネスなど構築していた。

いまは公共施設のマンション不要自転車の撤去とリサイクルをビジネスとしている。街を綺麗にし、海外で低価格の自転車を提供する社会的にも意義あるビジネスだと思う。

書籍も紹介しておく。

 

さて先日隠れ家的な蕎麦屋で中村さんと蕎麦を食べに行ったとき、彼が新しいメディアを立ち上げたと話してくれた。

「ききごたえ」「プロの流儀をとことん聞き取る」

様々な業界分野で活躍している人物に焦点を当て、その人の思い、困難、チャレンジそして今をインタビューで書き記したものだ。彼に聞くと、彼は優れたマーケターだがマーケティング的な意図は何もないという。ただ内容を見て普段会えないような著名な、活躍している人材と知り合えることが何より貴重だと話してくれた。SEOで上位表示とか、ソーシャルメディアをつかってバズらせるとか、一切なし。

ただ興味関心に基づいて人を選びヒアリングをしている。多分この姿勢もインタビューを受ける人にも伝わり、さまざまな著名な方の話を聞くことができているのだと思う。

私たちはサーチやソーシャルとか、メディアを見すぎて仕事をしていないだろうか。

もちろん従来のようなSNSsearchで評価されるコンテンツも重要だ。すぐ知りたいことを正しく伝えてくれるウェブサイトは検索エンジンで上位に上がり問題解決できたほうがいいし、ソーシャルメディアでバズるような分かりやすく面白いトピックも大事だろう。

しかし私たちが求めるコンテンツはそれだけではない。本に例えればハウツーやおもしろいトピックは人気が出るのだろうが、それはそれとしてじっくり読んで楽しむ文芸書のようなものがあってもいいはずだ。彼はそんなコンテンツを目指しているんだと思う。そしてノウハウティップスばかりのウェブサイトがユーザーにいつか飽きられ、これら即効性はないが残るようなコンテンツに関心が高まる時期がいつかくるだろうと思う。その時検索結果が変わるかもしれない。

そもそもgoogleが席捲する前のウェブサイトは、そんなものばかりだった。

伝えたくてたまらない内容を自分の視点で伝える、そのマニアックだけど魅力的なコンテンツにインターネットの楽しさがあった。こんなこと考えてる人いるんだ、とかこんなこと知ってるんだ、と見ず知らずの人の生の意見を知ることが楽しかった。

いつからウェブサイトはそんなお行儀良くなったのだろう。それはとっても便利になったけど、面白くなくなったな、とも思う。みんな実名でいい人で振る舞うウェブサイト。それは若い人にとってすでに退屈で窮屈な世界だ。だからウェブから離れていくのだと思う。

ほんとはもっとオープンにいろんな意見があってもよく受け入れる空間だったはずだ。懐古主義かもしれないがもっといろんな意見が自由に発信できる場になってほしいと思う。

残念なことに、いわき出身で優れたビジネスパーソンは他にもたくさんいるが、意外なことに、これらのビジネスパーソンはその実力と比べるとあまり地元で評価されていないように感じる。

いわき市は仙台に次ぐ工業出荷高。多くは大手企業の工場及び関連企業子会社が多い。成功したビジネスは大手企業と連携したものが多い。その中でアントレプレナーとか起業家は評価されにくい風土はある。

彼の優れたプランで私は魅力的に見えたが、なかなか評価されないところを見てきた。

日本でも地域によってにマーケティング能力の評価は開きがある。西高東低で、西日本ではマーケティング能力は高い評価をされる。特に九州ではマーケティグは重要なスキルとして高い評価を受けているように見える。一方で私の生まれた東北はマーケティングに対する評価が低い。地方で優秀なウェブマーケティング業者が生まれているのに対し、東北はとても少なく感じる。私の感じる理由は2つある。

まずどれだけ困難な状況か、ということ。九州は東京から遠く離れているため、店舗展開が困難だった。だから早くから通販に取り組み多くの著名な通販企業は九州にある。でもそれなら静岡や中部も同じだ、何が違うのかもう一つの理由がある。

もう一つのマーケティングが地域で広がらない理由が文化だ

過去の教えを守り、年上を敬いならぬものはならぬものなり。

会津藩に伝わる有名な什の掟だ。

一、年長者(としうえのひと)の言ふことに背いてはなりませぬ

一、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ

一、嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ

一、卑怯な振舞をしてはなりませぬ

一、弱い者をいぢめてはなりませぬ

一、戸外で物を食べてはなりませぬ

一、戸外で婦人(おんな)と言葉を交へてはなりませぬ

ならぬことはならぬものです

一方で薩摩藩に伝わる男の順序をご存知だろうか。

一、何かに挑戦し、成功した者

二、何かに挑戦し、失敗した者

三、自ら挑戦しなかったが、挑戦した人の手助けをした者

四、何もしなかった者

五、何もせず批判だけしている者

このように、何かをチャレンジして失敗した人は何もしていないで批判する人よりはるかに上になっている。このチャレンジを尊ぶ文化が戊辰戦争、明治維新に少なからず影響を与えたのではないか、と思う。