シンガポールで法人を立ち上げるときに後悔したこと
シンガポールでの事業展開は2つの方面で動いた。
1つはSoft Bank Technology(SBT)がすすめるプロジェクトとの連携
もう1つは独自での調査展開だ。
前者は行政系の機関を頼り、シンガポールのNUS(シンガポール国立大学)が運営するインキュベーション施設でネットワーキングを行いながら感触を探ったり、Bugisで場所を借りて講座を行うなどを行っていた。
しかしSBTとしては本流で考えてるセキュリティ事業があり、それほど力を入れることが難しくなっていった。
もう1つは、事業を独自に立ち上げることで、私が知ってる経営者の友人知人をたどってシンガポールの市場調査を行った。
その中で和僑会という日本人経営者の集まりがあることを知った。その中で大きなサミットのようなイベントがあり、参加させてもらった。
慣れないシンガポールで、どのように展開するか探っていたところで、シンガポールでの法人設立などを担当している会計士の方がパネルディスカッションでシンガポールでの起業について解説をしていた。
Certified Public Accountant(CPA:アメリカ公認会計士の資格)を持っていて、右も左も分からないので名刺交換をして、その後Facebookでつながって、関係者を交えたグループをつくり展開方法の相談をしていた。
シンガポールで法人をたてるときの3つの形態
シンガポールでビジネスをするにしてもいくつかの方法がある。
- 駐在員事務所
- 支店
- 現地法人
駐在員事務所
現地法人を作らず、駐在員を置くケースだ。
マーケティング・リサーチや現地とのミーティングなどを行うことならこれが一番手っ取り早い。
一方で、商取引をすることはできない。商取引をするなら支店か現地法人になる。
支店
シンガポール国内に法人をつくらず、支店として開設することである。支店は本店のある国(日本)の税務・会計ルールに沿うことになる。資金移動も同じ会社内なので楽だ。
商取引は可能だが、現地銀行口座ができるかはちょっと疑問だ。法人銀行口座開設条件は銀行ごとにも違うし一概には言えないが、普通現地法人がないと会社の口座は立てられないと思う。もちろん超大手は別だろうけど。
現地法人
これは無論シンガポールに法人を設立することだ。多くの海外進出企業はこの選択肢をとる。シンガポールの場合は、他の国より規制は厳しくはなく、Secreatriate (秘書と訳されるが決算などの責任者に近い)と現地Directorが1名いれば作れる。資本金や業種制限、資本金の割合もないのは東南アジアではかなり規制がゆるいほうだと思う。他の国だと現地の国民のシェアが51%とか、資本金1億円以上のような規制が普通にある。
現地法人つくったけど・・・今振り返ると
私達は現地法人をつくった。現地でビジネスができないと意味がないし、支店ではシンガポールの法人に有利な税制が活用できない(法人税率は日本に比べやすく、しかも3年間は非課税だったはず)。
しかしタイムマシンで戻ったら、まず駐在所として動き、目処がついたら支店を立て、最後に現地法人でも良かったかもしれない。最初の法人設立で失敗したため、ビザが取れなかったからでもあるが。
まず、現地調査だけでも半年ぐらいはかかるはずである。いきなり法人税が心配になるような取引があるなら別だが、取引がかたまったら、しばらくまってから支店を開設してもいいはず。
支店であれば、会計士のコストが大幅にかからない。日本と同じ会計だからだ。商取引もできる。現地銀行口座がつくれなければ、もちろん取引は毎回外貨扱いだから手数料もバカにならないのではあるが、それでも大した金額にはならない。なるぐらいの取引になってから現地法人でも遅くはなかった。
シンガポール法人の法人税率の低さや無課税の期間はたしかに魅力ではあるが、それだけ現地で儲けられるか?はまず考えたほうがいい。単純に日本の利益をシンガポールにつけるのは脱税だし、基本現地(もしくはシンガポール拠点とした国外での)取引に課税される。利益があがらないと法人税もかからないが利益が1年目からあがるか?はよく考えたほうがよいだろう。
現地法人はしばらく動いて順調になってからでも遅くないだろう。
ただし私は会社設立専門家ではないので、このあたりは専門家に細かく確認したほうがいいだろう。
法人設立は自分に依頼しないと相談には乗らない
さて、そんな賢いことを私が考えて意思決定できたかというとそんなことはなかった。
このあたり、法人をどうしたらいいか、将来シンガポールで海外展開を自分で動かしたいがどうすればいいかというような相談を先程登壇していた日本人のCPAをもつシンガポールの日系企業の支援をする会計士に相談をしたのだが
質問に答えてほしいならば、シンガポールに法人を開設し、その法人を開設するときには必ず私に開設を相談するような約束がなければ答えられない。
という回答をもらった。まだこの会計士とこのコンシェルジュサービスが自分たちに事業に適しているか判断できない中で、そもそも法人立ち上げが適切かどうか不透明な中で、このような条件をつけられることは意外ではあったが、当初からすでに相談していることもあり、私としても日本人に相談して日本の企業を支援するサービスだから、それだけ責任のある対応をするのだろうと考え、法人設立と設立はこのシンガポール在住の会計士のコンシェルジュサービスを利用しようと決めた。
どこに相談すべきか、相談するべきではないかを見極めることはとても大事だと後で知ることになる。
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